2. 小倉駅周辺
中高生たちの遊びの中心は、複合ショッピングセンターである。それらは点在していて、まとまってひとつの通りにあるような福岡市天神とは異なるものである。最近になって新しくRヴァーウォーク北九州や、小倉I勢丹などがオープンして買い物熱に火がついているようである。小倉駅には2つ出口があるが、I勢丹(元小倉Sごう)側が表と呼ばれる。表側にはモノレールが上を走る平和通りとよばれる大きな通りがあり、I勢丹は駅から高架でつながっていて、駅を出ると左側にある。I勢丹に用のない貧乏人は、反対側の魚町通りと呼ばれるアーケード街へと流れていく。
3.魚町通り
小倉駅からの高架を右にすすみ、エスカレーターを降りると、Mクドナルドの隣にロッTリアという大手ファーストフード店が無意味に競争を繰り広げている。そして、この春私が帰省していて気がついたのだが、いつできたのか、日の当たらないアーケードの中にSターバックスができていた。もちろんオープン席もあり、那覇の国際通りのさんさんとしたテラス席(ある意味排気ガスまみれ?)とは比べ物にならない不健康さに思わず目を疑った。雑然とした雰囲気のなかを人々は流れに任せて歩き続け、気がつくと小倉I筒屋前に出るのだが、このとき、ふと人通りのない角で曲がったりすると、かなりヤバめな通りに出る。この魚町通りには裏があって、何も知らずにピンク街にいってしまう中学生なんかを見ると切ない気持ちになる。また、人通りが多いところはそれなりに栄えてはいるのだが、一歩奥に行くとガレージ街になっていて、その前で生活をしているホームレスなどからもだが、不況の深刻さを思い知らされ、憂鬱な気分になり、未来に不安を覚えたりさせられる。ちなみに、今はどうだか知らないが、ここにはよく痴漢が出ていた。
4.紫川周辺
最近華やかなところである。紫川をはさんで、小倉I筒屋(いわゆるデパート)、Rヴァーウォーク北九州という商業施設が建っている。厳密に言えばI筒屋と川の間に紫江’S という中華料理屋のはいった建物があり、紫川の中を覗けるプチ博物館がある。
Rヴァーウォークとは福岡・博多のCャナルシティ博多と同じ設計者がたてた映画館つき複合商業施設であるが、規模はCャナルより小さい。2003年にオープンしたばかりで、小倉城のすぐ隣にある。未だ謎が多く、なぜか新聞社やNHKまで入っていて、芸術劇場や美術館の分館なんかもあり、どういうわけか餃子屋をあつめた「餃子の小径」がある。もちろん小倉で餃子が盛んに食べられているような事実はない。私が沖縄に引っ越した後でオープンしたため、このRヴァーウォークに関してはほとんど何も知らないが、帰省するとあらゆるところで「友達がRヴァの餃子屋でバイトしよってさ〜」と言う会話を聞き、そのたびに「だけんRヴァのどこの餃子屋っち?」と思っていたことも一応書いておこう。
紫川といえば、無駄に橋を架けていることでも話題をさらっている。橋といってもただの橋ではない。やたら派手で無意味に装飾を施した橋である。中でも目を引くのが「太陽の橋」で、ひまわりがらにタイルをうめこみ、頭部がパスタのペンネの形をした人型の像が等間隔に並んでいる。ちなみに、今ではカップルのボートの浮かぶ和やかな紫川だが、昔はなぜか競艇が行われており、橋から見ていたのを記憶している。
5.おわりに
競馬に競輪、競艇…どんなに街が明るくなってもギャンブル熱が冷めたわけではない。暴力団は未だ存在するし、爆発事件まで起こった。今も怪しげな飲み屋街で賭博が行われていても不思議ではない。しかし、これはおそらく全国的に都市の裏で行われていることであり、北九州は特例ではないはずだ。とはいえ、昔に比べるとすっかりクリーンな街になってしまった小倉の街であるが、わたしは不良少年団が魚町通りで言い争いをしていたり、紫川で競艇が行われていた頃のほうがどこかのびのびとしていたように思う。クリーン化した今日、ギャンブルに対する偏見が以前よりも強まったようにも感じるし、一昔前の気取らない微妙な雰囲気を非常に懐かしく思う。何が言いたいのか自分でもよくわからないが、わたし個人の目を通してみた北九州・小倉はこんなものである。今更だが、わかりにくい文章になってしまったことをお詫びしたい。