最新更新日
07/05/22

カイジ概論
著者:息の長い戦士

 賭博黙示録カイジにおける人間分類考−福本先生のメッセージ−

はじめに

 私がカイジと出会ったのはたしか大学2年のころだったと思う。読み終えた後に私の胸を駆け抜けたものは、「もうドラゴンボールには戻れない」という思いであった。そのぐらい衝撃的だったのだ。それからの私の人生は福本氏と共にあったと言っても過言ではない。
 今回はカイジに登場する人々について述べてみたいと思う。

※以下の内容は、カイジを読んで私が考えたことなので、福本氏の考えとは異なる所があるかもしれない。間違った所があるのなら、いつか福本氏に誠意を見せたいと思う。本当の誠意を…。


1.分類

 カイジに登場する人々は、主に2つのタイプに分類することができる。悪党クズである。ここでは、登場人物にあてはめながらこの2タイプの説明(福本的)をしていく。

(1)悪党

ex)兵藤会長、利根川、遠藤、船井、北見etc…
 悪党とは読んで字のごとく悪い人種のことである。スピードワゴン氏(享年79歳生涯独身)によると彼らからはゲロ以下の臭いがプンプンするそうだ。

 カイジに登場する悪党たちは皆人を騙し勝ちを積み上げてきた人々である。船井北見は参加者なのに?と思うかたもいるかもしれないが、船井がリピーターであることを考えてみると彼には娑婆の借金は無い。この2人は船井の言葉を借りるならば「ヤマ師のような連中」なのだろう。
 悪党はを持っている。船井や北見も伊藤カイジに会わなければ数百万の金を持ってエスポワールを降りることができたであろう。彼らが金を持っている理由は明らかである。伊藤カイジの言葉を借りるならば「知略走り他人出し抜ける者」だからだ。分かりやすく言えば狡猾で、冷静で、なによりもクズを獲物にするということである。

(2)クズ

ex)初期の伊藤カイジ、古畑、石田、安藤、佐原etc…
 カイジにもっとも多く登場する人種であり、たいていは多額の借金を背負っている。
  特徴として、すぐに泣き言を言い、ちょっとしたことで歓喜し、興奮し、ざわざわする。また、に身を任せる傾向が強く、負けると「あちゃー」(もしくは「えっ!」)と言う
(そして別室ヘ…)。
  彼らにとって現実はリアルではなく、死の直前まで現実を直視できない。そんなクズたちの中で、死の直前の直前で現実を直視した石田クズ史に残る英雄の1人と言えるであろう。


2、カイジに見る福本氏のメッセージ―考察に変えて―

 カイジの中で福本氏は何を読者に伝えたかったのだろうか。クズになれということはないであろうし、悪党にも、伊藤カイジのようになれということでもない。
 3巻のなかに興味深いセリフがある。北見との戦いの場面でのカイジのセリフである。「他人なんて関係ねー…肝心なのは…オレがやると決めてやる…ただそれだけ…耳を傾けるべきは…オレ自身の声」。
 「これだ!」私の中で閃光が走った。福本氏の伝えたかったのはまさにここなのである。現実を見つめ自分にとって価値のあることをする。なんてシンプル難しいことなのだろうか。だがあえて福本氏は読者に語ったのであろう…
「リアルな人生を生きろ!」と。


おわりに

 この発表のためにカイジを読み返してみて、あらためて感じたことなのだが、カイジはなんとくだらない漫画なのだろうか。普通に生活していれば限定ジャンケンをすることなどないし、高層ビルで綱渡り(もどき)をすることもない。だが私は声を大にして言いたい。「それでもカイジは…否!福本先生は熱い熱いんだぁー!」と…。最後にこの言葉を皆さんに捧げてこの発表を終えたいと思う。

「いいじゃないか三流で…熱い三流なら上等よ」


『天−天和通りの快男子−18巻』著・福本伸行




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