最新更新日
03/06/23

ガンダム概論T
著者:理学部の糸数


一時間目 「機動戦士ガンダム」における世界観


はじめに

  私の「ガンダム歴」は小学校低学年のころ、母方のおばさんから誕生日プレゼントとして「ΖΖガンダム」プラモデルをもらったことから始まったと言える。そのころ、私の周りの女子たちは人形遊び編物ままごとなどといった遊戯をして自らの心を和ませていたが、そんな中にあって私はひたすらプラモデル作りやブロック積み遊びなどに楽しみを見出すような子供であった。そのころの私は特にガンダムのストーリーや登場人物など、細々とした設定に関しては全く興味も無く、ただ「作る」楽しみという枠組みの中で「ガンダム」に接していたような気がする。
あれから14、5年の月日が経った。学校で小・中・高と12年も国語教育を受けたおかげか最近はやっとその世界観の全容がぼんやりとではあるが把握できるようになったように思う。
 そこで今回は、「機動戦士ガンダム」における世界観、並びに基本設定に関しての報告を試みようと思う。なお、テキストとしては富野由悠季著『機動戦士ガンダム』@〜Bを取り上げる。


1.作品紹介


 『機動戦士ガンダム』シリーズは、(1)原作者である富野由悠季氏によって書かれた物語、(2)富野氏の世界観を原案としてそれ以外の人が書いた物語、(3)原案・著者ともに富野由悠季以外の人物が書いた物語の3つに分けることができる。
 今回はそのうちでも主に(1)にあたる『機動戦士ガンダム』@〜B(これらは一般に「ファースト・ガンダム」と呼ばれる)、『機動戦士Ζガンダム』@〜D、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』、『閃光のハサウェイ』(上)〜(下)、『機動戦士Vガンダム』@〜D、『機動戦士ガンダムF91 クロスボーン・バンガード』(上)(下)における世界観について説明してみたい。


2.語句説明


 ここでは、まず「機動戦士ガンダム」の世界観を捉える上で必要な語句について説明してみたいと思う。

 @宇宙暦

 『機動戦士ガンダム』@では「宇宙暦」に関して「人類が宇宙に進出した記念すべき年ユニバーサル・センチュリー宇宙世紀、もしくは宇宙暦零年と」するとしている。人類が宇宙に進出する動機として「地球の人口増加」が挙げられ、旧西暦二十世紀後半、許容範囲を超えた人口増加を「宇宙移民」によって円満に解決しようと「宇宙移民計画」、「スペース・コロニー計画」が実行されたとしている。『機動戦士ガンダム』@〜Bは宇宙暦79年から80年に勃発したいわゆる「一年戦争」についての物語となっている。

 Aスペース・コロニー

 「ガンダム」の世界では、宇宙移民計画の具体案として、「スペース・コロニー計画」が考え出された。「スペース・コロニー」とは直径3km、長さ32km強の円筒形の「シリンダー」であり、人間の宇宙での居住を可能とするものである。この中は、山や木々、河川などが存在し、人間が地球と対して変わらない生活を送れるように設計されているようだ。スペース・コロニーは太陽と月と地球の引力の中和点である「ラグランジェ・ポイント」付近に数十基単位で作られ、「ガンダム」の世界ではそのコロニー群を「サイド」と呼んでいる。

 Bジオン公国

 人類の総人口の80%が宇宙移民となろうとした時、それまでほぼ強制的に移民をさせられてきたという背景もあって、地球に残りたいとする人々が台頭し始めた。そのような人々は、スペース・コロニーに移住した人々(スペースノイド)を管理することをやめなかった。ここに、地球に残る人々と宇宙移民の間の確執が露呈することとなった。
 「ジオン公国」はスペースノイドがそのような管理(支配)を逃れて独立政権を樹立すべく、ジオン・ダイクン(人名)の「コロニー共和国宣言」(宇宙暦58年)といった運動に後押しされるかたちでサイド3(月の裏側)に建国された。
 ジオン・ダイクンはその4年後に死亡し、その後をデギン・ザビ(人名)が受け継いだ。デギン・ザビが率いるジオン公国は自治権を認めようとしない地球連邦政府と戦争状態に突入していくこととなる。そのような動きの中でデギン・ザビはサイド3独自の軍としてジオン軍を組織した。

 Cニュータイプ論

 ジオン・ダイクンが唱えた「人類の総体の中で認識力の拡大が行われて、人類が進化してゆく」という理論。真意としては、「様々な枠組みや制約、しがらみを超えて分かり合うことができる人種」と規定することができる。「ガンダム」世界において、ニュータイプと呼ばれる人々は主に戦場において利用されることでその能力を開発されていく。
 ニュータイプの能力は本来の「分かり合う」能力、すなわち「認識力の拡大」であり、それが戦場に利用された場合は、認識力を拡大することで「どちらから狙われているか」とか「どこに敵がいるか」といった瞬間的な予知能力を発揮することができるように描かれている。

 DMS(モビル・スーツ)

 ジオン公国が対地球連邦軍の兵器として開発した「ミノフスキー粒子」によって、両軍共にレーダーを使用した狙撃系の兵器(ミサイル兵器など)が使用不可となり、その対抗策としてジオン軍により開発されたのがMS(モビルスーツ)である。「ミノフスキー粒子」とは電波の反射吸収を起こす帯電微粒子のことである。MSはそのような状況の中で人間が操縦して白兵戦を行うために開発された兵器の総称である。


おわりに

 まず、ここまであれこれと書いてきて、私は馬鹿であることが結論としてわかったとご報告しておきたい。「ガンダム」の世界は全てフィクションであり、悪く言えば妄想である。そのような妄想に振り回された挙句、このような場でやれMSだ、やれニュータイプだと騒いではみたものの、発表を終えた今「この後何も残るまい」という強烈な虚無感・無力感を禁じえないのは私だけであろうか。知っていても何の特にもならないこのようなこの一連の物語に関し「概論」などといって発表してみても、「オタクの烙印を押されるだけ」であるのは火を見るより明らかであろう。しかし、ここで私は敢えて恥ずかしさを堪え、今一度心から叫んでみたい。

ジオン公国に栄光あれ!

ジーク・ジオン!
ジーク・ジオン!!
ジーク・ジオン!!!


(※必ずご唱和下さい。)

参考文献

    富野由悠季 1979 『機動戦士ガンダムT』 角川書店
            1980 『機動戦士ガンダムU』 角川書店
            1981 『機動戦士ガンダムV』 角川書店




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