最新更新日:
03/06/24

平安座サンガチャー巡検

ハマウリ(浜下り)とは

 今回取り上げる「ハマウリ」とは旧暦三月三日に行われる行事で、沖縄方言でサングァチサンニチ、サングァチアシビあるいはサングァチャーと言い、また宮古・八重山ではサニツ・サニジと呼ばれる。一般的には浜辺に出る行事なので「ハマウリ」と言う。
 浜下りは「海浜に下り、災厄を祓い清める習俗」と「旧暦三月三日に行われる行事」の二種類に分類することができる。前者は旧暦三月三日に限らず、鳥が家の仏間に飛び入ると、その災厄を払い清める為に浜辺に行き、浜辺で一日を過ごす習俗である。
 行事としての「ハマウリ」ではフーチバームーチー(よもぎ餅)と重箱をつくり、ヒヌカン(火の神)と仏壇に供えたあと、浜辺に下りて重箱のごちそうを食べながら、潮干狩りをして過ごす。浜下り行事の主体は女性であるが、男女問わず浜に下り、海産物を獲ったり重箱を食べたりする地域も多い。浜下りは邪気、災厄を払う行事と考えられており、健康祈願の意味合いを持つ。先程述べたヨモギにも魔よけの意味があり、浜下りの時に人々が海辺で海産物を取ったり、潮干狩りをするのも、海に入ることによって海水による「禊ぎ」即ち邪気除けを行う意味がある。
 このように浜下りは厄払い、健康祈願の意味の強い行事であったが、現在では家族皆で楽しむ行楽としての潮干狩りといった感じが強くなっている。
   <参考文献>沖縄タイムス社 『沖縄大百科事典』
 
ハマウリにまつわる伝説

 ハマウリの由来に関しては、地域によっていろいろに伝承されているようだが、一般的な由来譚としては「アカマタ伝説」が伝えられている。ここにその伝説の大まかなあらすじについて紹介してみたいと思う。
 昔、一人の美しい娘のもとへ毎晩、若い男が忍び込んで来た。そしていつのまにか 娘は妊娠してしまう。怪しんだ母が事の次第を聞き、その男が来たら針に糸を通して その男の衣に刺しておくようにと指示した。娘はそれを実行し、翌朝糸をたどってい くと岩下の穴に通じている。中からは、「自分の種を人間の腹に宿らせた」という声 と、「人間は利口だから三月三日に浜に下りて海砂を踏むと流産してしまう」という もう一つの声の会話が聞こえる。びっくりしてのぞくと一匹のアカマター(蛇)に針 が刺さっていて別のアカマターと話をしている。母親はあわてて三月三日に娘を浜下 りさせて流産させたという。

 
   

平安座の浜下り

 平安座島では、旧暦3月3日から3月5日にかけてサングァチャーとよばれる行事があります。行事のメインは「トゥダヌイユー」という儀礼と、島の東にあるナンザイワという岩で行われるニライカナイへの祈願です。今回はその様子を報告します。

・準備風景
 平安座島には青年会(25歳までの男性)と成人会(25歳から60歳までの男性)があり、このサングァチャーの行事の時には、仮装を行って行事を盛り上げます。


・トゥダヌイユー
 「トゥダヌイユー」は、島のカミンチュ(神人)が銛を持って、あらかじめ準備された方言名で「タマン」という魚を突く儀礼で、チョーヌハマ(地図参照)という場所で行われます。平安座島では漁業を行っている人が多く、この儀礼には大漁祈願の意味が込められています。儀礼が終わるとその場所で「かぎやで風」などの伝統芸能が披露されます。

・ナンザイワでの御願風景
 「トゥダヌイユー」の儀礼が終わると、有志の方、青年会、成人会が行列をなしてアガリヌハマまで移動します。そこから島の東に位置するナンザイワ(地図参照)まで歩いて渡ります。ナンザイワへは普段潮が満ちている状態では渡ることができませんが、干潮になると歩いて渡ることができます。ナンザイワでは、遠い海の彼方にあるとされるニライカナイへ、島の人の健康、大漁、航海安全、島の繁栄が祈願されます。祈願が終わると踊りや三味線が披露され、参加者に酒や蛸の刺身などが振舞われます。

・宴会風景
ナンザイワからアガリヌハマに戻った後、参加者は自治会館に戻り、行事は終了となった。その後、関係者たちは慰労会を自治会館前で催す。今回、我々民研メンバーも参加させてもらったが、踊りあり、唄ありのの楽しい一時であった。

・感 想
 今回の巡検は、一年次も入っての初めての巡検であったが、慰労会にも参加させてもらい、島の方との交流の機会を持つことができ、非常によい巡検となりました。平安座島の皆さん、どうもありがとうございました。

■巡検風景

■平安座の位置

■準備風景

■トゥダヌイユー

■ナンザイワでの御願2

■宴会風景



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